LGBTの会員と支援者のグローバルな居場所に
アトランタで開催された2017年ロータリー国際大会。そこで行われた「LGBTQコミュニティをロータリーファミリーへ」と題する分科会で、オハイオ州から来たロータリークラブ会員、ミシェル・ウィルソンさんが次の質問をしました。「ロータリーにはなぜLGBT+の人たちのグループがないのでしょう?」。ウィルソンさんは、こう続けました。「そのようなグループを作るべきです」。この発言への反響は、本人さえ驚くほど大きなものでした。
分科会の終了を待たずに、レイクチャールズ・ハッピーアワー・ロータリークラブ(米国ルイジアナ州)会員のショーン・オハラさん(後の親睦活動グループの初代会長)が、LGBT(レズビアン、ゲイ、バイセクシャル、トランスジェンダー)のFacebookグループを開設。ウィルソンさんも、分科会の部屋を出る頃には、この新グループへの参加を希望する人たちからもらった数十枚の名刺を手にしていました。こうして、「LGBTのロータリアンと支援者の親睦活動グループ(LGBT Rotarians and Friends Fellowship)」が誕生しました。
ウィルソンさん(グループ現会長)をはじめとするメンバーは、英語、スペイン語、ポルトガル語で定期的に開かれるZoomイベントの合間に、多様性の大切さについてクラブで講演をし、ロータリーでのLGBTの人たちのストーリーを紹介しています。
LGBTコミュニティの支援プロジェクトでクラブと協力する機会を模索しているこのグループは、誰をも歓迎する多様性あるクラブづくりのためのリソースを提供しています。
ロータリーのプライド
「ロータリアン歴20年以上の私にとって、超我の奉仕はDNAの一部です。今66歳で、61歳のときにカミングアウトしました。LGBTコミュニティへの奉仕は、先人たちへ感謝であり、これからは私が奉仕する番だと思っています」 — ロナルド・シェーンメルさん(サンディエゴダウンタウン・ブレックファスト ・ロータリークラブ、米国カリフォルニア州)
「私がクラブ会長に就任したとき、夫が隣に座っていました。翌年、私が後任者に木槌を手渡したときには、父が1976年の会長退任時に受け取ったダイアモンドの元会長ピンを、夫が私の襟に着けてくれました。以来ずっと、それを身につけています」 — デイビッド・ブリカさん(セドロウーリー・ロータリークラブ、米国ワシントン州)
完全にオープンな環境の中で、ゲイであるほかのロータリアンと(今はバーチャルに)会うことのできるグループができたことで、私たちが完全にロータリーの仲間になったことを確認できました
ヴァレリ・クラブトゥリーさん
ウェルストン・ロータリークラブ(米国オハイオ州)
着実な前進
「私は、トランスジェンダーであることを公表した初のロータリークラブ会長の一人です。会長年度には、ロータリー/LGBTコミュニティの情報交換会を行いました。10年前にはあり得なかったことです」 — モニカ・マルホランドさん(クイーンズタウン・ロータリークラブ、ニュージーランド)
私は、1989年にロータリー青少年交換に参加して以来、ロータリーとかかわってきました。1990年代末期にはハリウッド・ロータリークラブ(米国カリフォルニア州)の会員として、サンフランシスコ・カストロ・ロータリークラブの加盟を手伝いました。今日のロータリーは、歴史上どの時代よりもずっとインクルーシブ(包摂的)です
ブライアン・ラッシュさん
第5150地区グローバルアクション・ロータリークラブ(米国カリフォルニア州)
「コロナウイルス後の未来に、私は希望を感じています。地元の二つのロータリークラブが一緒にプライドイベントに参加する予定であり、そのほかの方法でもLGBTコミュニティを支援していきます。私たちのクラブも、支援、友情、助言を必要としているLGBTコミュニティ団体を見つける必要があると考えています」 — ジョン・カルショーさん(アイオワシティ・ロータリークラブ、米国アイオワ州)
みんなに公平であること
ロータリーにおけるLGBTについて話そうとすると、政治的な話題だからといって、多くの会員やクラブはそれを黙らせようとします。しかし、それは間違いです。これは政治的な問題ではなく、人権の問題なのです。「四つのテスト」を忘れないでください
モニカ・マルホランドさん
「私はトランスジェンダーの女性として、あらゆるジェンダーの人の公平な扱いに関心を抱いています。今日、ほとんどの人が、ジェンダーアイデンティティの相違は不健全なことではなく、ごく普通のことだと理解しています。若い世代はLGBTグループに対してオープンな態度を取るようになってきましたが、それでも進展は全体的に非常に遅いペースです」 — ウェン-ユェ・ホァンさん(台北南隆ロータリークラブ、台湾)
「普通とされる状況と異なっていようとなかろうと、自分について包み隠さずに話せる時代にやっとなりました。自分に正直に生きるには、勇気が必要です。受け入れてもらえることで、人びとは自由になり、あるがままの自分をさらけ出すことができるようになります」 — メアリー・マクリーンさん(ボーズマン・ロータリークラブ、米国モンタナ州)
「ロータリーに入会してこの親睦活動グループと出会ったことで、目的意識が生まれ、もっと積極的にかかわりたいと思うようになりました」 — R. リー・ドナルドソンさん(ハワイロータリーEクラブ)
この記事は『Rotary』誌2021年6月号に掲載された記事を日本語に翻訳したものです。