あの人は今どこに
ロータリーとの出会いで羽ばたいた環境志向の元奨学生
クリスティン・ウェグナー・ギルフォイル
- 2004-07年 ドミニカ共和国で平和部隊に参加
- 2010-11年度ロータリー国際親善奨学生
- 2022年コロラド大学デンバー校より広報の博士号を取得
2005年、平和部隊の2年任務の半ばにあったクリスティン・ウェグナー・ギルフォイルさんは、友人の結婚式に出席するために故郷の米国イリノイ州に帰省し、そこで「運命の出会い」をしました。
披露宴でのこと。テーブルである判事(ジョリエット・ロータリークラブ会員)と同席したギルフォイルさんは、ドミニカ共和国で自身が携わっていたバイオサンドフィルターの活動について判事に話しました。それがきっかけとなり、その翌週にロータリークラブ例会で卓話をすることとなり、さらに平和部隊の任務を終えて帰国した後にもクラブ会員たちから経済的サポートやメンタリングを受けることとなったのです。
ギルフォイルさんは当時を振り返ってこう言います。「本当に思いがけない出会いでした。ロータリーとの出会いのおかげで、人助けのために自分の能力を生かす方法を見つけることができました」
友人の結婚式での偶然の出会いから18年。平和部隊で経験を積み、ロータリー国際親善奨学金やロータリーでの奉仕活動を通じて、ギルフォイルさんは環境を守るという自身の使命をはっきりと自覚しています。元々、環境意識が強い子どもでした。「アウトドア活動が好きで、環境教育キャンプにも参加し、汚染問題について地元新聞に手紙を送ったこともあります」。パデュー大学に進学して土木工学の専攻を選んだものの、9・11の同時多発テロがきっかけで考えが変わりました。「平和と持続可能性のために働き、世界に変化を生み出したいと思うようになりました」
大学卒業後、平和部隊に参加してドミニカ共和国で2年間任務に就き、その後も現地での滞在を1年延長してジョリエット・ロータリークラブから11,000ドル以上の支援を受け、バイオサンドフィルターのプロジェクトを続けました、土木技師だったクラブ会員二人(今も現役の会員)がドミニカ共和国を訪れ、浄水と持続可能性についての技術的な指導も行ってくれました。現地で高校生たちに水フィルターの使い方を教え、全国で生徒と成人のための研修を行い、地域社会の人びとと協力する中で、リーダーシップの力も磨いていきました。
米国に戻ったギルフォイルさんは、ナロパ大学(コロラド州)で環境リーダーシップの修士号を目指しました。論文を執筆していたとき、平和部隊の元ボランティアであるというロータリークラブ会員と出会いました。それが縁でいくつかのロータリークラブで卓話を行い、今度はロータリー国際親善奨学生としてコロンビアに留学することとなりました。
その後の約10年間、ギルフォイルさんは現地の先住民たちのために活動することとなりました。ソーラーパネルとワクチンの提供、学校の再建、有機コーヒーの協同組合の設立などを、複数のロータリークラブ、第5450地区(コロラド州北部)、ロータリー財団から資金援助を受けて実施しました。気候変動の影響でアンデスの山々の雪が溶け、先住民たちが利用する水が失われつつあることを知ったのも、このときでした。
この経験がインスピレーションとなり、博士論文では米国における気候変動の軽減を扱いました。現在は、クリーンエネルギーを目指して国立再生可能エネルギー研究所内の戦略的エネルギー分析共同研究所で仕事をしながら、幼い二人の子育てに奮闘しています。2013年に入会したボルダー・フラティロンズ・ロータリークラブでの活動は休止していますが、母親となった今、次世代のメンターとなりたいという衝動に駆られています。
「子を持つ親となったことで、持続可能性へのコミットメントがさらに強まった」とギルフォイルさん。「環境のためのリーダーシップの手本となり、協力と革新の大切さを示していきたいと思います。環境問題は未来を担う子どもたちが解決していくこと、と考えている人もいますが、私たちがその負担を少しでも軽くしてあげる必要があると思うんです」
本稿は『Rotary』誌2023年8月号に掲載された記事を翻訳・編集したものです。