ロータリー学友世界奉仕賞に緒方貞子氏
元国連難民高等弁務官であり、元ロータリー国際親善奨学生の緒方貞子氏に、2016-17年度ロータリー学友世界奉仕賞が贈られました。
外交官の家族に生まれた緒方氏は、第二次世界大戦後、国際関係に関心を抱き、米国ワシントンD.C.のジョージタウン大学大学院へ留学。1951年、日本人として2人目のロータリー国際親善奨学生となりました。
「ロータリー奨学生として留学中、社会奉仕の重要性を学んだだけでなく、ロータリアンの方々との交流を通じて、見識を広げ、さまざまな経験ができた」と緒方氏は振り返ります。「『超我の奉仕』というロータリーのモットーに深い感銘を受け、以来、これが私の人生の指針となってきました」
カリフォルニア大学バークレー校から博士号を取得後、日本に帰国した緒方氏は、現在ロータリー平和センターがある国際基督教大学と早稲田大学で教鞭をとりました。その後、1991年に国連難民高等弁務官(UNHCR)に就任。さらに、国連総会で日本代表、国連日本政府代表部とユニセフの執行理事会議長も歴任しました。
国連難民高等弁務官としての10年間、緒方氏は、湾岸戦争、ルワンダと旧ユーゴスラビアでの民族紛争、冷戦時代のアフガニスタン紛争における難民、そして旧ソビエト連邦から逃れてきた難民を支援しました。
難民問題と国際的な安全保障には深い関係があると訴えることで、国連難民高等弁務官事務所の予算と人員を拡大。国連安全保障理事会との関係を強化し、その貢献が高く評価されています。「難民を守ることは、その性質上、論争の的となり得る」と緒方氏。「行動を重んじるダイナミックな(UNHCRの)活動を実行するには、主権国家に挑むことが求められます。これらの国は自国民以外、そして時には自国民への対応に迫られるからです」
2000年にUNHCRを退職後も、政府や国際関係の舞台で積極的に活動し、国連人間の安全保障委員会共同議長やアフガニスタン支援日本政府特別代表などを歴任。国際協力機構(JICA)の理事長を2期務めたほか、小泉純一郎元首相が設置した有識者会議のメンバーとしても活躍しました。
政府関係の仕事に携わったことで、変化をもたらす民間人と市民グループの力を知ったと緒方氏は話します。
「私たちは急速に変化する世界に生きています。世界がこれまでになく複雑な脅威にさらされている中で、市民社会の役割や人びとのつながりが、これまで以上に重要性を増しています」
最優秀学友会賞は、ロータリー第1210地区学友会(英国)に授与されました。同学友会は、定期的にクラブ例会や地区行事に参加し、地区内の家庭に絵本を寄贈するプロジェクトを実施しています。