母校への思い
コロナ禍で神戸大学がマスク不足に直面していることを知ったロータリー奨学生、陳林さんが、他の中国人卒業生たちと共に支援に乗り出しました。
10月5~11日の週、全世界のロータリアンと学友が、経験をシェアし、互いにネットワークを広げ、ロータリーに参加しつづけるためのアイデアを交換します。学友参加推進週間(Reconnect Week)の活動のアイデアをご覧ください。
2003年、陳林さんはロータリー米山記念奨学会からの奨学金を受けて日本に留学しました。
日本全国のロータリー会員からの寄付によって支えられているこの奨学会は、日本に留学する海外からの学生に奨学金を提供しています。神戸大学で構造科学の博士号を取得した陳さんは、ロータリー奨学生としての経験を通じて「人を助けることで自分が幸せになり、成長し、向上できる」と気づいたと言います。
そんな思いを抱いていた陳林さんは、一度帰国するも、2014年に仕事の関係で日本に来ることに。自身の経験を生かして、ボランティアで神戸大学の学生たちにキャリア指導をしたり、海外の学生たちとのシンポジウムに参加したりしました。
「少しでも力になれればうれしいと思って」と陳林さんは話します。
寄付の呼びかけ
去る3月、陳林さんは、新型コロナウイルスの流行により神戸大学医学部附属病院で個人用防護具が不足し、手術のニーズを満たせていないことを知りました。そこで、神戸大学の中国からの元留学生のWeChatグループで支援を呼びかけました。
「主に寄付を担当する6人のグループを作りました」と陳林さん。「まず寄付を呼びかけるメッセージを送り、それを受け取った学友たちが知り合いにも支援を呼びかけたのです」
支援を寄せてくれる人が多いことがわかった一方で、課題もありました。中国で寄付金を集めたのはよいけれど、これを個人用防護具に変えて神戸にどう届ければいいのか?
この問題を解決するには、いくつかの段階をクリアする必要がありました。「寄付金を集める」「適切な個人用防護具を選ぶ」「防護具を購入する」「それを上海浦東国際空港まで運ぶ」「防護具を大阪へ空輸する」「神戸まで運ぶ」「神戸大学病院との手配を整える」などです。
「少しでも力になれればうれしいと思って」
チームは、集まった寄付金で6万5千枚のマスクを購入。さらに、吉祥航空が無料でマスクを関西国際空港まで運ぶことを承諾してくれました。
無事に届いたマスクのおかげで、神戸大学医学部附属病院では患者に安全で適切な医療を継続できただけでなく、病院で働く人たちの安全を守ることができました。
愛情の印
母校への思い、そして母校の病院でコロナウイルスと闘う医療従事者たちを助けたいという思いが、自身とWeChatグループのモチベーションと連帯感を高めた、と陳林さんは語ります。
「マスクの寄贈は、愛情の印です。母校への愛情、医療従事者への愛情、そして、コロナウイルスで苦しむ人たちへの愛情です」
「『あなたを支えていますよ、あなたと一緒に闘いますよ』という気持ちの表れでもあるんです」