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6名の「世界を変える行動人：平和の推進者」が選ばれる

 

受賞者は、農民や難民を支援し、戦後のトラウマを癒し、多様なグループ間の対話を促進しています

文：

ロータリーは1月、「世界を変える行動人：平和の推進者」として6名の卓越したロータリー会員と学友を表彰しました。本賞は、世界平和の実現に向けた功績を称えるものです。難民の子どもたちを支援したり、持続可能な農業を推進したりするなど、受賞者たちによる意欲的な取り組みは多岐にわたり、いずれもロータリーの価値観と長期的なインパクトに対する熱意を実証しています。

  • アン・ケア・バテル（Anne Kjær Bathel）

    ドイツ
    ロータリー平和フェロー
    活動分野：難民の子どもたちがデジタル社会に対応できるようにするための支援

    アン・ケア・バテルさんは、ロータリー平和フェローであり、元ロータリー青少年交換学生、社会起業家、メンター、ReDI School of Digital Integrationの創設者です。 

    バテルさんは、ドイツの難民の子どもたちにテクノロジー教育を提供するReDI Digital Kidsのコンセプト開発と実践を支援しました。このプログラムは、子どもたちの好奇心と創造性を育み、グループでのコミュニケーションと交流を促すものです。また、参加者がデジタルリテラシーを養い、オンラインの世界を安全かつ自信を持ってナビゲートできるよう支援しています。 

    プログラムの初期段階では、296名の子どもと78名の教師が参加しました。このプログラムでは、地域社会との継続的な関わりが持続可能性の重要なカギとなっています。企業や政府パートナーからの資金援助により、現在ではドイツ全土で4,000人以上の難民や移民の子どもたちがこのプログラムに参加しています。

    バテルさんは、地域内外のロータリークラブと強力なパートナーシップを築き、重要な長期資金も確保しました。また、平和構築とイノベーションにおける経験を生かし、参加者とその家族に長期にわたる社会的・経済的恩恵をもたらすプログラムを開発しました。

  • マリア・クリスティーナ・シフエンテス（María Cristina Cifuentes）

    コロンビア
    ロータリー平和フェロー
    活動分野：コロンビアのNDC（国が決定する貢献）への平和構築の統合

    マリア・クリスティーナ・シフエンテスさんは、ロータリー平和フェローであり、平和のためのロータリー行動グループメンバー、そしてグローバルな気候正義の親善大使として、コロンビアのNDC（国が決定する貢献）に平和構築のアプローチを統合する先駆的なプロジェクトを主導しています。NDCとは、国連に提出された気候行動計画です。コロンビアのNDCが、気候変動に対する持続可能性とレジリエンス（困難からの回復力）において平和を重要な要素として盛り込んだのは今回が初めてです。 

    このプロジェクトでは、コロンビアのNDCを支える五つの柱（ガバナンスと透明性、社会的なエンパワメントと人権、持続可能な開発と積極的平和、人間の安全保障と気候変動へのレジリエンス、イノベーションと能力開発）を定めています。同プロジェクトは、子どもや先住民、農村地域の人びとなど、脆弱で意思決定プロセスから歴史的に排除されてきたコミュニティに焦点を当てています。

    ロータリー平和フェローとして修士号取得を目指すかたわら、不安定な状況下で平和を促進するための枠組みを考案しました。彼女は、この方法をコロンビア環境省に提案し、気候目標と一致させました。この枠組みは、2025～2030年を対象とするNDC 3.0の更新版に組み込まれました。この枠組みには、倫理的な移行原則、国連の持続可能な開発目標、人権、ジェンダー政策、子どもに配慮した指標への取り組みが盛り込まれています。このアプローチは、変革的な気候変動対策を推進する上で、平和と社会正義が果たす役割を強調しています。

  • ドミノ S. フランク（Domino S. Frank）

    チャド
    ロータリー平和フェロー
    活動分野：女性の経済的自立を支援

    ドミノ S. フランクさんは、人道的開発と平和構築の分野で20年以上の経験をもつロータリー平和フェローです。チャドのゲレダでCorridors of Peace（平和回廊）プログラムの戦略的提唱者およびプロジェクトコーディネーターを務めています。紛争地域で避難民となった女性や若者への支援に重点的に取り組んでおり、職業訓練、教育、医療などの重要なサービスを提供しています。 

    紛争と避難民により不安定な状態にある地域では、教育的・経済的機会を得ることができない女性が大勢おり、結果として、貧困と依存のサイクルから抜け出せなくなる可能性があります。機会の欠如は、社会と経済の格差をさらに深め、地域社会内の緊張を悪化させ、不安定化を招く要因となります。 

    Corridors of Peaceは識字能力のほか、裁縫、農業、石鹸作りなど、市場価値があり持続可能なスキルの研修を提供しています。これらのスキルを習得することで、女性たちは収入を得ることができ、生活環境を改善し、経済的な自立を実現することができます。このプログラムは、貧困、不平等、権利の剥奪といった紛争の根本的原因に対処することで、平和を築いています。

  • スワティ・ハーカル（Swati Herkal）

    インド
    Wai in Maharashtraロータリークラブ会員
    活動分野：再生農業の実践を通じて農家を支援

    スワティ・ハーカルさんは、パストガバナーであり、ロータリー・ニュース・トラストのガバナー審議会議長です。また、ロータリー財団専門家グループ（Cadre）のメンバーでもあります。活発な慈善家として、さまざまな組織で多様な役職を務めてきました。

    ハーカルさんは、都市部から離れた農業地域における経済的不安定と社会問題に取り組むプロジェクトを立ち上げました。これらの地域社会は、貧困、失業、移住、土壌の悪化といった問題に直面しています。これらの問題がすべて組み合わさると、社会不安と不平等が悪化します。ハーカルさんの取り組みは、農業従事者に堆肥づくりやその他の持続可能な農業の実践を奨励し、生産性を向上させることを目的としています。

    プロジェクトの第一段階では、70名の参加農家が、コスト削減、収穫量の増加、土壌の肥沃度の向上を報告しました。また、ロータリー地域社会共同隊に参加し、革新的な方法を導入したいと考える1,200人以上の農家のメンターとしても活躍しました。地域社会の女性たちは、堆肥を生産して販売し、経済的な自立を実現しました。このプロジェクトは、再生農法の成功を紹介することで、農業から離れてしまう可能性のある若者たちに、より有望なキャリアの方向性を示しました。この取り組みは現在、さらに50の村に拡大されています。

  • リンダ・ロウ（Linda Low）

    米国
    ロータリー平和フェロー、Global Partners in Peaceロータリークラブ会員 
    活動分野：困難な問題における対話を促進

    リンダ・ロウさんは、ロータリー平和フェローであり、世界中に会員を擁するGlobal Partners in Peaceロータリークラブの創立会長です。分断や二極化を緩和するために、多様なグループ間の対話を促進するプロセスを開発しました。「リーダーシップ・ダイアログ」と呼ばれるこのプログラムは、2016年に考案され、現在では米国および世界中の地域社会で活用されています。

    リーダーシップ・ダイアログは、人びとが困難な問題について話し合い、異なる視点についてより明確に理解しあえるよう促します。また、価値観の共有、傾聴、共感に重点を置くことで、人びとが建設的な話し合いを行い、異なる意見や経験を尊重することを助長します。その結果、地域社会の発展と協力が促されます。ロウさんはこれまでに少なくとも2,000人との対話を進行してきましたが、その約半数がロータリー会員です。また、米国の多くのロータリアンが対話の進行方法を学べるよう支援してきました。さらに、リーダーシップ・ダイアログを啓発キャンペーンや地域社会参加のイニシアチブに組み込んでいる地区もあります。アンケートに答えた参加者のほとんどが、この経験によって対話の仕方が変わったと述べています。

  • サネラ・ミュージック（Sanela Music）

    ボスニア・ヘルツェゴビナ
    Global Impact District 1990ロータリーEクラブ
    活動分野：レジリエンス、信頼、つながりの構築

    幼少期、サネラ・ミュージックさんは、ボスニア・ヘルツェゴビナで1992年から1995年まで続いた戦争の難民でした。現在は、国際的な人材コンサルタント、またジュネーブの国連に対するロータリー代表であり、ロータリー財団とSANCHILD財団で平和構築に尽力しています。

    ミュージックさんは、癒しと末永い平和構築を促す対話を地域社会で促進することで、戦後のトラウマに対処する「ハーモニー・プロジェクト」を主導しています。2021年に開始されたこのプロジェクトでは、これまでに47の取り組みを実施し、1,000人以上に恩恵をもたらし、間接的に34都市の約5万人に好ましい影響を与えてきました。 

    学校におけるハーモニー・プロジェクトは、教師と生徒が感情をコントロールし、レジリエンスと信頼を築くことを支援します。ボスニア・ヘルツェゴビナで2期にわたって教育省から承認されたこのプロジェクトは、対立や偏見、文化的な隔たりを減らすとともに、民族間のつながりを深める効果もあります。参加者は、人間関係に大きな変化が起こり、全体的な幸福度が向上したと報告しています。

    このプロジェクトの成果に触発されたミュージックさんは、平和教育の専門家やロータリーのパートナーと協力し、バルカン半島全域、さらにより広大な地域へとプロジェクトを拡大しようとしています。

世界各地で平和を促進するロータリーの活動について詳しくはこちらからご覧ください

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