「飛行愛好家ロータリアンの国際親睦活動グループ」に新たにウクライナからのメンバーたちを迎えるためにリヴィウで開かれた祝賀ディナー。そのにぎやかな席で、集まったロータリー会員たちがグラスを掲げて乾杯し、友情を深めました。翌日には、ウクライナのメンバーたちが来訪者らを旧軍事基地(現在は民間飛行場)に案内し、旧東側の飛行機を見せました。
ウクライナ危機への
そのほかのロータリーの対応は
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そのわずか数カ月後、ロシア軍がウクライナに侵攻。以来、この新たな友情が、ウクライナへの支援と物資供給において欠かせないつながりとなっています。
これまでにロータリーの世界的ネットワークによってウクライナの人びとのために数百万ドル分の救援物資と医療物資が送られており、この取り組みのインパクトをさらに大きくしているのが、共通の関心や趣味に基づいて結成された「ロータリー親睦活動グループ」です。
飛行愛好家の親睦活動グループのメンバーたちも、戦争の勃発後すぐに、ウクライナの仲間に直ちに連絡して救援に乗り出しました。ウクライナのメンバーたちは、最も効果的な支援方法を特定するうえで大きな力となっています。
その一人が、オルハ・パリチュックさん(ウクライナ、チェルカシー・ロータリークラブ会員)です。医師であり、パイロット免許を取得中だったパリチュックさんは、飛行愛好家の親睦活動グループと医療従事者の親睦活動グループの両方を通じて、救援計画の調整にあたっています。
「わずか1週間で12,000ドル以上の資金と大量の医療物資が集まりましたが、それは全部、オルハさんを通じたものでした」と、同グループの前会長であるジョージ・チャフィーさんは話します。「現地で何が必要とされているのかをウクライナの仲間たちに教えてもらうことで、必要な物を、必要とされている場所に的確に届けることができます」
チャフィーさんによると、香港に住むメンバーが25,000ドル以上の医療物資を調達して発送したそうです。ある時には、緊要な医療機器を購入するために、わずか4日間で10,000ドル以上を集めました。グループでは、複数のタイムゾーンを含むチャットを使って発送や手配の打ち合わせをしています。
グループの現会長であるジョージ・リッチーさんはこう言います。「迅速さ、そしてテクノロジーによって世界が小さくなったという点では、私たちのグループは先を行っていると思います」
医療従事者
「医療従事者の国際親睦活動グループ」もウクライナの仲間たち(パリチュックさんもその一人)に連絡して即座に行動を起こしたと、同グループ委員長であるジョン・フィリップさんは言います。援助のための効果的なアプローチをすぐに考案し、医療現場で必要とされている物資についてウクライナの医療従事者たちと毎週ミーティングを開いています。
フィリップさんはこう話します。「私たちが対応しているのは、ウクライナの医療従事者たちからの要請だけです。また、物資や資金の調達はロータリーだけを通じて行っています。購入した物資は、ロータリアンが管理するポーランドの倉庫に送られ、そこからロータリアンが国境を越えて物資を運び、現地のボランティアに手渡します。これらのボランティアが、指定された病院へと物資を届けてくれるのです」
グループが関わっている取り組みの一つに、北米にあるウクライナ人医師会と、北米とアルゼンチンのロータリー地区が協力して実施している活動があります。この活動では、数百トンもの医療物資をシカゴからウクライナに発送しています。
ウクライナのためのスキーイベント
スポーツ関連の親睦活動グループもウクライナ支援に参加しています。スキー愛好家ロータリアンの国際親睦活動グループは3月、スイスのシュクオルで支援ウィークを実施。欧州16カ国から100人以上のスキーヤーが集合し、衣料品その他の物資の購入費のために約35,000ユーロ(35,000米ドル)を集めました。これらの物資は、ウクライナ国境近くの倉庫にいったん送られ、そこからウクライナに配達されました。
このグループはまた、ブラチスラバ・ダヌベ・ロータリークラブ(スロバキア)、コーブルク・ロータリークラブ(ドイツ)と協力して、追加100万ユーロ(100万米ドル)も調達しました。この資金は、第2240地区の協力の下、5台の救急車の購入費と改良費、および救急隊用の物資調達費に充てられました。
グループは今後もこの活動を続け、もっと多くの救急車と医療機器、浄水用ペレット、止血帯などを購入していくと、グループの欧州支部リーダーであるミロシュ・メティさんは話します。
長期的なソリューション
フィリップさんによると、医療従事者の親睦活動グループは、募金だけではなく、もっと組織的で総合的な対応が必要とされていることに気づきました。同グループの毎週のミーティングでは、避難民の増加やインフラの破壊によって、子どもが予防接種を受けられない、慢性病患者への治療ができないといった問題が長期化していることが報告されています。
「水の供給不足や不衛生などの問題により、コレラや腸チフス、はしかや肝炎などの感染リスクが高まっている」とフィリップさん。
グループは、ウクライナの医師の要請に応じて、長期化する戦争が妊婦ケア、慢性疾患、青少年のメンタルヘルスに及ぼす長期的な影響を調べるタスクフォースを結成。また、多くのストレスを抱えるウクライナの医師たちが内密に話すことのできる支援ネットワークも立ち上げました。
「泣いている医師を見るのが一番辛い」とフィリップさん。「医師たちが口にするのは、本来なら安全に暮らせていたはずの患者たちや、手足が切断された患者たちについてです。これらの医師は、第一次大戦で使われていた粗末な器具で骨を摘出しなければならず、出血多量で亡くなる人たちを目にしています」
親睦活動グループによるウクライナ危機への迅速な対応は、ほかの紛争や自然災害への対応においても、これらのグループがメンバーを動員して長期的なケアを提供できることを物語っています。フィリップさんはこう言います。「この経験で非常に多くのことを学び、自分たちにもっと多くのことができるとわかりました」