ウクライナでの戦争により、民間人の避難が余儀なくされ、深刻な人道的影響が出ています。国連によると、500万人以上(その大半は女性と子ども)が近隣諸国とヨーロッパ全域に避難し、ウクライナ国内の避難民も約700万人に上っています。
難民に食糧、水、医療、シェルターを提供するため、欧州や世界各地のロータリークラブとローターアクトクラブが、周辺地域の会員とともに迅速に支援活動に乗り出しています。
世界中からの温かいご支援のおかげでロータリー財団に1,500万ドル以上のご寄付が寄せられ、この資金は災害救援補助金として優先的に活用されます。
以下に、4月20日時点での最新のプロジェクトをいくつかご紹介します。
ウクライナのロータリークラブによる活動
- チェルカスィ・ロータリークラブは、地元の複数の病院のために医療物資と医薬品を購入・配達しました。クラブはまた、スムイ、ヘルソン、ハリコフ、チェルニヒウから避難してきた250家族のために毎日の食事を手配しました。
- ハリコフ・インターナショナル・ロータリークラブの会員数名は、国境を接する国に赴き、避難民たちが新しい生活に適応できるよう援助しています。これらの会員はまた、Yellow Helpプロジェクトを通じて紛争地域の家族たちの避難を援助しています。
- キーウ・シナジー・ロータリークラブは、イタリアから350箱分の医療物資を調達し、キーウとスムイに配達しました。
- キーウ-ソフィア・ロータリークラブは、キーウとイルピン-ブーチャの住民たちに温かい食事を準備し、届けています。会員たちは、衛生用品と医薬品を購入し、若い母親や高齢者に配りました。
- リヴィウ・ロータリークラブの会員は、欧州諸国から届いた救援物資の荷下ろしと整理を手伝い、ウクライナ各所の救援物資収集場所に届けるための手配を行っています。
そのほかのロータリーの活動
- 第2231地区(ポーランド)のクラブは、50,000ドルの災害救援補助金を活用して、ウクライナから逃れてきた難民に移動手段、宿泊場所、食料、医療援助を提供しています。
- 第2240地区(チェコ共和国)は、被災者のために寝袋、医薬品、食料、除細動器、心電図装置、酸素濃縮器など5万ドル相当の物資を購入しました。
- ドイツの地区ガバナーは、会員による取り組みやオンラインでの支援活動の調整にあたる全国規模のタスクフォースを設置しました。政府機関や非政府組織との窓口となるタスクフォースの事務局は、ベルリンに設置されています。
- フランス全土のロータリークラブが力を結集して、難民のための必要物資の収集と配布にあたっています。国内のクラブから寄せられた寄付と物資は、地区ガバナーが取りまとめ、ウクライナのロータリークラブの支援のほか、ポーランドとルーマニア経由でやってきた難民の支援や、これらの国にいる難民のフランス移送などに役立てています。ニーズの特定は、フランスがかかわる複数の国際共同委員会が行っています。
- 第1910地区(オーストリア)は、25,000ドルの災害救援補助金を活用して、オーストリアに逃れてきたウクライナ難民のために、宿泊場所、ベビー用品、医薬品、衛生用品、心のケア、食料、電化製品などを提供しています。
欧州のローターアクト
欧州全域のローターアクターのための多地区合同情報組織「欧州ローターアクト情報センター(European Rotaract Information Centre)」は、難民とボランティアのための情報をまとめたサイト「United for Peace」(平和のための団結)を開設しました。
- このサイトには、難民が利用できる無料の鉄道、バス、航空機に関する情報に加え、必要とされている支援や物資、各国境地域での支援方法のリストが掲載されています。
- サイトにはそのほかに、ウクライナ西部の都市リヴィウの病院や、各地で支援を行っているクラブ、地域の他団体のための募金の詳細も掲載されています。
- サイトは、国境で行き場をなくしている難民のための避難所をローターアクターが手配するのにも役立っています。難民の宿泊のために自宅を提供できるボランティアは、オンラインフォームから登録し、宿泊できる人数と期間を指定できます。当初、このサイトはウクライナを逃れるロータリー会員を援助するための取り組みとして開設されましたが、現在は、援助を申し出る欧州全土のロータリー会員によって利用されています。
- 必要とされている物資と寄贈物資をつなげる役目を果たしているこのサイトは、緊急のニーズを満たす方法について10カ国、60人のチームがビデオ会議で協議してから48時間以内に立ち上げられました。
ウクライナ
ウクライナには62のロータリークラブと6の衛星クラブがあり、その会員数は約1,100人です。また24のローターアクトクラブがあり、その会員数は300人以上です。
- 第2232地区(ウクライナとベラルーシ)は、この危機の影響を受けた人びとを支援するための委員会を結成しました。委員会は、生活必需品を確保するための募金に乗り出し、世界中のロータリー会員に支援を呼びかけています。
- リヴィウ市には、ウクライナの他の都市からの避難民が流入しています。リヴィウ・インターナショナル・ロータリークラブは、地方自治体や主要病院と協力して、避難民がアクセスできる救援物資のオンラインスリストを作成しました。寄贈物資を病院に届け、現地の倉庫で保管するための手配は、会員たちが行っています。
ポーランド
ポーランドは100万人以上の難民を受け入れており、国内のロータリークラブが寄付の窓口となる口座を開設しました。
- オルシュティン・ロータリークラブは、地元市民センターに設置された難民キャンプに滞在する150人以上のウクライナ人のために寄付を集めました。難民の多くは、ウクライナにいる親元を離れてやってきた身寄りのない子どもたちです。センターが難民の受け入れを開始してから数時間以内に、食料、衣類、洗面用品、おもちゃなどの物資をいっぱいに積んだ4台の車が寄贈されました。
- ザモシチ・ロータリークラブは、医療用品の流通会社を経営するボルシュティン・ロータリークラブの会員と協力して、物資や医療用品を集めるために他団体との連携を手配しました。
- グダニスク・セントラム・ロータリークラブは、難民である4家庭に宿泊施設を提供し、会社経営者である会員たちがこれらの家族に仕事を提供しています。
ウクライナと国境を接するそのほかの国
- ハンガリーのキシュバールダ・ロータリークラブは、募金を取りまとめ、会員総動員で生活必需品を寄贈し、難民たちに届けています。
- ルーマニアとモルドバのロータリー会員は、寄付の窓口となる基金を設置し、食糧の寄贈や難民の宿泊手配を行うためのWhatsAppグループを立ち上げました。
- スロバキアとチェコ共和国では、クラブが鉄道・貨物会社と提携し、約2,300人の難民の移動手段を提供しています。
執筆協力:Kim Widlicki、Claudia Brunner
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