インターアクターが募金活動で大活躍
1962年に創設されたロータリーのプログラム「インターアクト」は、12~18歳の学生がリーダーシップスキルを学び、地元でボランティア活動する場となっています。中高生とはいえ、インターアクターたちの活動力には目を見張るものがあります。
インターアクターであるメリーン・ロスモンさん(米国カリフォルニア州)は、まだ高校生ながら地元や世界に大きなインパクトをもたらしています。
そのことは、ロスモンさんがリーダーを務める第5170地区インターアクトが集めた募金額からも明らかです。同地区に123あるインターアクトクラブの募金活動では、学年度末までに総額4万ドル(約550万円)以上が集まる見込みとなっています。集めた資金は、同地区のインターアクターたちが2023年に選んだ目的(サンフランシスコ湾岸地域での食糧支援とホンジュラスでの水・衛生環境の改善)のために役立てられます。「安全な水は基本的な必需品ですが、世界では汚染された飲み水が原因で推定年間829,000人が亡くなっています」とロスモンさん。彼女の地区は、非営利団体Water1stと協力して、ホンジュラス南部の15戸の家庭にパイプ、水洗トイレ、シャワーを設置する資金を提供しています。
成功の秘訣
インターアクトクラブの成功要因は何でしょうか?大きな成果を上げているインターアクトクラブの会員や関係者から、その秘訣を聞いてみました:
募金活動では地域全体を巻き込む:Honesdaleインターアクトクラブ副会長のプージャ・パテルさん(高校2年生)は、ウクライナ被災者支援のために12,000ドル(約165万ドル)を募ったチャリティーカラオケ大会がその良い例だと言います。学生たちは地元の醸造所と提携したほか、ほかの地元企業に働きかけてスポンサーとなってもらい、ラッフルの景品を調達しました。
インターアクターが主導権を握る:第5170地区インターアクト委員長のチャンさんは次のように言います。「インターアクトではミスをしても責められたり罰せられたりしません。ミスをすることは、若きリーダーとしての成長過程の一部にすぎません。リーダーシップを発揮する機会を与えれば、若者たちは見事に能力を開花させます」
地元ロータリークラブからサポートを得る:Honesdaleインターアクトクラブのメンターであるブライアン・ファルプさんは、ロータリークラブとの協力を「アドバイスを得る」ことだけに留めるべきではないと話します。「募金活動をする際には、募金した額に上乗せ寄付(マッチング寄付)をすることをロータリークラブにお願いしてみてください。インターアクターからのお願いに『ノー』と言えるロータリークラブは少ないでしょう」
インターアクターが活躍している地域はここだけではありません。ペンシルバニア州にあるHonesdale 高校の70人のインターアクターは、2022年4月にチャリティーカラオケ大会を開催し、ウクライナ戦争被災者を支援するロータリー財団災害救援基金のために、なんと12,000ドル(約165万円)の募金に成功。さらにテキサス州では、インターアクターが第5890地区の行事でラバー・ダック(アヒルの形をした玩具)を販売し、ポリオ根絶活動のために1,300ドル(約18万円)を集めました。
募った資金は、インターアクターたちが選んだ目的に活用されます。テキサス州のインターアクターのように、多くのクラブが少なくとも年1回はポリオ根絶活動のための募金を行っています。その方法も、手作りクッキーの販売から上述のようなチャリティーカラオケ大会まで、独自にあらゆる方法が用いられています。
今日のインターアクターの中には、将来にロータリアンとなる人もいます。第5170地区インターアクト委員長である34歳のミッティ・チャンさんは、高校時代にインターアクトクラブに入会して以来、人生の半分以上をロータリーとともに過ごしてきました。「ロータリアンはメンターやアドバイザーになれますが、主導するのはインターアクターたち」とチャンさん。「ビジョンと戦略も、インターアクターが自分たちで決めます。ロータリアンは研修や助言を与えますが、主役はあくまでインターアクターです」
高校卒業を控えたロスモンさんは、大学では社会貢献に焦点を当てた経営学を専攻する予定です。大学進学後もローターアクトに入会して奉仕活動を続け、いずれはロータリアンになりたいと考えています。「インターアクトのおかげで成長し、今の自分を築くことができました。ローターアクトとロータリーを通じて、これからも社会に貢献していきたいと思います」
本稿は『Rotary』誌2023年5月号に掲載された記事を翻訳・編集したものです。