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神様と人をつなぐ仕事

石腰 亮さん(神奈川県、寒川ロータリークラブ)

職業:神道(権宮司)

父が神主だったので、子どものときの遊び場は神社の境内でした。神道の祭や儀式を見たり、参加したりしました。父の影響で神道の勉強をはじめ、自分も神主になりました。

日本人にとって神道は、宗教というより土着信仰に近いといえます。仏教やキリスト教と違って開祖がいませんし、経典や聖書のような神聖な書物もありません。神道の神様は万物に宿っています。島国である日本は地震や台風といった自然災害を受けやすく、人びとは守り神様のご加護に頼っていたのです。

現代では、神道は日本の文化や道徳観に織り込まれ、私たちの世界観と関係しています。神道の中心にあるのは、清浄観、自然との調和、伝統と家族の尊重といった概念です。

寒川神社の起源は約1,600年前にさかのぼります。境内には伝統的な日本建築の建物が複数あり、真ん中に御社殿が巨大な鳥のようにそびえたっています。地元の守り神を祀っており、伝説によると、この神様は、信者を八方の厄から守り、幸せと繁栄をもたらすとされています。

神主は神社の儀式を司り、信者と守り神様の媒介者となります。説法はせず、ご加護を受けるためにやってくる信者さんたちと神様とをつなげるのが主な仕事です。

神主になるには、神社本庁が認可した大学を卒業するか、資格試験に合格する必要があります。神主は結婚でき、多くの場合、子どもが後を継ぎます。日本に8万カ所ある神社に約2万人の神主がおり、その約16パーセントが女性です。

寒川ロータリークラブには2014年に入会しました。当クラブは寒川神社内で例会を行っています。神道の祭の際には、ロータリーの認識向上や地元プロジェクトのための募金活動を実施します。寒川神社は地域にとって大切な存在であるだけでなく、ロータリーにとっても大切な存在です。奉仕と平和というロータリーの理念は素晴らしいと思います。神道の哲学とも合致します。

(聞き手:Minmin Wu、写真:Minmin Wu)

※本稿は『Rotary』誌2022年12月号に掲載された記事を翻訳したものです。