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国境を超えた対話:韓日親善を通じて平和を築く

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 両国のロータリーのリーダーが国境を越えた平和構築の機会について語る

文:

日本と韓国のロータリアンはこれまで40年以上にわたり、両国間の理解と友好を深め、平和を築くことを目的に韓日親善会議(日本が開催国の場合は「日韓親善会議」)を開催してきました。新型コロナウイルスのパンデミックで4年間中断されていましたが、2024年10月24日・25日、ソウルで第16回韓日親善会議が開催され、日本から約220人のロータリアンが参加しました。また、元国連事務総長であるバン・ギムン(潘基文)氏が「世界平和とロータリー活動」について講演しました。

バン・ギムン氏は次のように述べました。「世界的に不安定な時代には、五つの『P』、すなわち『人(person)』、『地球(planet)』、『平和(peace)』、『繁栄(prosperity)』、『パートナーシップ(partnership)」が必要であり、これらはすべてロータリーの基本的価値観です」

会議前日の23日、菅原裕典氏(日韓親善委員会 日本側副委員長)とホン・キホ氏(韓日親善委員会 韓国側副委員長)をソウル市内のRotary Centerにお招きし、両国間の交流における両氏のかかわり、両国のこれまでの協力と今後のビジョンについてお話しいただきました。

会議の前日、ソウル市内で対談した菅原裕典氏(日韓親善委員会 日本側副委員長。写真左)とホン・キホ氏(韓日親善委員会 韓国側副委員長)。

写真:Jong-Min Park, Rotary Korea magazine

Q: これまで日韓の交流にどのようにかかわってこられましたか。

菅原:私も家族も韓国が大好きなので、以前から1年に1回は必ず(韓国に)来ていました。私のクラブの姉妹クラブがソウルにあり、友好で行ったり来たりするようになりました。その一つのステップアップとして、私の地区(第2520地区)とホンさんの地区(第3640地区)の姉妹地区での交流もあります。2019年には私の地元、仙台で日韓親善会議が開催され、多くのロータリアンが参加しました。そして今、さらなるステップアップとして、日韓親善委員会副委員長として全国レベルで日韓親善にかかわっています。

ホン:私も姉妹地区としてずっと参加してきました。友情をもって親しい関係を築いてきたので、心では日本と韓国のロータリアンを区別できないほどです。私だけではなく、地区の大勢の会員、特にクラブで姉妹関係を持っている会員は、日本の会員と家族みたいに行ったり来たりして友情を築いています。そこで私が得たものは、お金で手に入るものではありません。

韓国側の韓日親善委員長であるキム・カンテさんが一番尊敬しているのが、日韓親善に力を捧げていた第2520地区の故菅野多利雄さんです。菅野先生がいろんな奉仕をなさっていたのを、キム委員長も私も見ていました。ですから、なんとしても韓日親善会議を引き継いでいきたいと考えています。

菅原:今回の会議には日本からロータリアンが220名くらい出席しますが、もっと多くの人に韓日親善にかかわってほしい。今回の親善会議は、来る人は旅費もかかるし、時間も取って来なければならないけれど、これはただの旅行とは違います。この素晴らしい経験を、入会してきた人たちにも同じように感じてもらえたらと思うんです。

Q: 韓国と日本のロータリアンの親睦を通じて、何を学びましたか。このような協力は、両国間の平和と理解にどのようにつながっていると思いますか。

菅原:学んだことは、日本のロータリアンも韓国のロータリアンも同じだということです。ロータリーというものが世界共通で、同じ考えをもって同じ行動をする。ロータリーでは、韓国の代表とか日本の代表とか、国の代表というものはありません。約530人の地区ガバナーが国際ロータリー会長からのメッセージをクラブに伝えているわけです。毎年のメッセージは多少違っても、伝える根本的な理念は同じです。それは、1905年の創立からずっと変わっていません。

昨日たまたま、ロータリーの韓国の友人4人と一緒に食事をしました。4人とも日本語はほとんど片言ですが、2~3時間食事をして全員がずっとハッピーでした。ロータリーの精神が同じで、みんな同じような感覚を持っているからです。ロータリーでは、違いがあっても互いを尊重します。

ホン:ロータリーの哲学と目的が全体に行きわたっている。菅原さんの4人のご友人が片言の日本語でもコミュニケーションできる理由はそこにあります。考え方、生き方が同じだから。田中作次元会長のテーマは「奉仕を通じて平和を」でしたが、戦争がないことが平和ではありません。平和とは、一人の人から始まって、だんだん拡大するものです。それがロータリーの目的であり、私がロータリーに感謝する理由でもあります。

菅原:2011年の東日本大震災では、世界各地から支援がありましたが、特に姉妹地区、姉妹クラブの関係があった韓国の方々からは相当な義援金をいただきました。私も、韓国で何かあれば心配するし、すぐにメールを送ったり連絡したりします。いろんな意味で国の政治的な問題はありますが、韓国と日本のロータリーの交流が限りなく続くことが、国を超えた平和につながると思います。

Q: 韓日親善会議以外に、韓国と日本のロータリアンはどのように協力していますか。

菅原:会議二日目の10月25日、韓国と日本のロータリアンが集まって、ポリオのTシャツを着て地域清掃をします。日本のロータリー研究会でもこれについて報告する予定で、これは重要で大きなメッセージになると思います。単なる友好から一歩前進した形と言えます。

ホン:昔は日本から韓国、その後、神戸地震や東日本震災の時には韓国から日本へ支援を行いました。こうしたサポートは、お金だけでなく精神的なものでもあります。

現在、日本と韓国は、ロータリーで会員数や寄付額において世界トップレベルにあります。日韓でどこかを支援するという合同プロジェクトをしたら、もっといいんじゃないかと思います。

Q: 韓国と日本のロータリーが今後どのように協力していくことを望んでいますか。

菅原:この親善会議を、ただ「こんにちは、久しぶりだね」という挨拶だけでなく、実務的なことも話せる場所にできればよいと思います。会員基盤についてとか、一つのテーマでの分科会ができれば、互いのロータリーをもっと発展させるために課題について話し合えると思うんです。

会員基盤について言うと、韓国のロータリーは会員を増やしています。隣国である日本では会員が減少しています。韓国ではDEI(多様性・公平さ・インクルージョン)や若い人に特化したり、いろんなクラブづくりに力を入れたりして、新しいことに挑戦している。これは私たちも学ぶべきだと思います。いい意味での競い合いができる存在が近くにあるのは、ありがたいことです。

私のモットーは「継続は力なり」。人間は寿命があるから、長く続けていくには、世代でうまく引き継いでいかなければなりません。ですから、日韓の関係を大切にし、新しい人たちを巻き込んでいくことが、私の仕事です。私より歳が一回り上の(日本側の日韓親善委員長の)桑原茂さんも私にそうしてくださった。

次回の日韓親善会議は、神戸で2026年10月に開催することが既に決まっています。

ホン:今日の世界は、昔とはまったく違います。グローバリゼーションが進み、ボーダーレスで国境がなくなりました。グーグルやマイクロソフト、サムスンなど、グローバルな企業が出てきて、国の意味はなくなりました。特にヨーロッパではそうです。20年、30年後には、グローバリゼーションとボーダーレスがもっと進んで、世界の価値観や考え方がロータリーと同じようになるかもしれません。

ロータリーが日韓親善を続け、うまく行けば、世界を先導していけると思っています。韓日親善会議で希望が強まり、将来の互いの発展が促され、友情がだんだん強くなることを期待しています。ロータリーには「ありがとう」の一言に尽きます。

世界各地で平和を推進するロータリーの取り組みについてご覧ください


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