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ビジョンの探求:2024年『Rotary』誌フォトアワード

世界各地のロータリー会員が光をとらえる

2014年3月、サンガヴェル・サラヴァナラジさん(インド、マドゥライノース・ロータリークラブ会員)は、全国予防接種日に地元の道路料金所でワクチン投与のボランティア活動をするローターアクターたちに同行しました。バスが停車するたび、ローターアクターたちはバスに飛び乗って子どもたちに経口ポリオワクチンを投与しました。1台のバスが走りだそうとしたとき、車内にまだワクチンを投与されていない赤ちゃんがいることにローターアクターたちは気づきました。その時のことを、サラヴァナラジさんはこう振り返ります。「彼らはすかさず行動を起こしました。母親が赤ちゃんを窓際に近づけると、一人のローターアクターが赤ちゃんを手で支え、もう一人のローターアクターがワクチンを投与したのです」

熱心な写真家であるサラヴァナラジさんは、その瞬間をとらえた写真を『Rotary』誌フォトコンテストに応募しました。

10年近く経った今、当誌は、ロータリアン写真家の国際親睦活動グループの委員長となったサラヴァナラジさんに連絡しました。2012年に設立されたこのグループには現在、プロとアマチュアの写真家や写真愛好家など、1,400人以上のメンバーがいます。メンバーたちはFacebookページでつながり、作品をシェアしあっています。各地の支部が写真コンテストやワークショップ、撮影会などを企画することもあります。

当誌の今年のフォトアワードのため、サラヴァナラジさんと協力して、この親睦活動グループのメンバー4人を審査員として選びました。アワードには合計856点の応募があり、風景、自然、肖像、イベント、食べ物など、あらゆるジャンルの写真が寄せられました。審査員が最終候補作品の技術スキルと美しさを評価し、最終的に当誌で紹介する14枚が選ばれました。これには、渓谷の上に広がる幻想的な天の川、女子・男子生徒に月経について教育するローターアクトの取り組み、仏陀の生誕地、神聖な町の早朝の風景などをとらえた写真が含まれています。

「写真とロータリーによって世界への扉が開かれた」とサラヴァナラジさんは言います。「フォトアワードのおかげで、ロータリー会員の活動を紹介し、学びあうことができます。新たなレベルの『露出』と言えます」 


最優秀作品

撮影者:Keith Marsh
Silicon ValleyロータリーEクラブ(米国)

米国ワシントン州東部のパルース滝上の空に広がる神秘的な天の川。写真の上部中央には、流星の跡が3本、かすかに見えます。1万3千年以上前にパルース川によって谷が形成され、約60メートル下に勢いよく落ちる滝が形づくられました。審査員講評:私も夜空を撮るのが好きですが、多くの点でこの写真の撮影は難しかったと思います。流星によってこの写真がさらに特別なものとなっています。 — Tami Phillippi

最優秀作品:世界を変える行動人

撮影者:Joshua Uwagboi
Abuja Wuse IIローターアクトクラブ(ナイジェリア)

ボランティアのルース・アメさんとAbuja Wuse II ローターアクトクラブの会員たちが、ナイジェリアの首都アブジャで生徒たちに月経について教育しています。主な対象は、女子生徒ではなく男子生徒。 このイニシアチブは、女子の同級生たちに対する態度を変え、共感を育むことを目的としています。審査員講評:女性の表情に特に目を引かれます。男子生徒たちが共感を持つように真剣に月経について教えていることがわかります。 — Madhumita Bishnu 

そのほかの優秀作品

インド北部の神聖なヤムナー川でのある朝の風景。この川では、ヒンドゥー教徒たちが清めの儀式を行います。審査員講評:川と床に注がれる朝日の温かみがまるで肌に伝わってくるようです。 — T.P. 

Hansruedi Frutiger、Gombakロータリークラブ(マレーシア)

メキシコの町、コフラディア・デ・スチトランでの「死者の日」の祭りで、友だちたちにフェイスペイントをしてもらう高校生、オルガ・アルカラスさん。アルカラスさんはロータリークラブのプロジェクトとして始まった非営利団体による「プロジェクト・アミーゴ」から奨学金と学業支援を受けています。メキシコの町、コフラディア・デ・スチトランでの「死者の日」の祭りで、友だちたちにフェイスペイントをしてもらう高校生、オルガ・アルカラスさん。アルカラスさんはロータリークラブのプロジェクトとして始まった非営利団体による「プロジェクト・アミーゴ」から奨学金と学業支援を受けています。審査員講評:生の喜びと死者への敬意を表すこの祭りの伝統と地域社会との絆が、この写真から伝わります。モノクロによって、この瞬間の感情的な深みが一層強まっています。 — Shankar Subramanian生の喜びと死者への敬意を表すこの祭りの伝統と地域社会との絆が、この写真から伝わります。モノクロによって、この瞬間の感情的な深みが一層強まっています。 — Shankar Subramanian

Keith Marsh、Silicon ValleyロータリーEクラブ(米国)

ネパールのルンビニにあるマヤ・デヴィ寺院。この寺院は、仏陀(ゴータマシッタールダ)の生誕の地として崇拝されています。古くから巡礼地として知られ、神聖なプールと庭園があります。審査員講評:平穏さ、静寂さ、そして赤/緑の原色と青/黄色のアクセントが、この写真を力強いものとしています。 — Lára Stefánsdóttir 

Raquel D’Garay-Juncal、Worldwide Impactロータリークラブ(第1550地区)

モロッコ、フェズの古い町並みで鮮やかに浮かび上がる、Chouara皮なめし工場の色とりどりの染料。周囲にあるワークショップでは、何世紀にもわたって用いられてきた方法で皮革が革製品へと生まれ変わります。審査員講評:巧みなフレームと構図によって、染料の容器の丸い形と線で目線が導かれ、この写真の魅力が高まっています。 — L.S.

Larry Wilson、Western Henrico Countyロータリークラブ(米国)

朝日に照らされたブライスキャニオン国立公園(米国ユタ州)の砂岩の柱。審査員講評:穏やかな瞬間をとらえたこの写真は、自然の美しさと孤独さを見事に表しています。渓谷のごつごつした感触と早朝の柔らかい日差しのバランスがうまく構成されています。 — S.S. 

Leigh Ann Wilson、Yorkロータリークラブ(米国)  

米国ウィスコンシン州のオシュコシュで毎年催される航空ショーの練習中にフォーメーションを組んで飛ぶT-34メンター機。審査員講評:この写真から、シャッターチャンスと構図におけるカメラマンの高いスキルがわかります。この位置から撮影することで、写真を見る人はまるでコックピット内で風を切って飛んでいるような感覚になります。 — S.S.

Eric Strand、Fergus Falls Sunriseロータリークラブ(米国)

真昼のミステリー:閉鎖された原子力発電所(ドイツ、メッペン)の冷却塔の底になぜか駐車されたキャンピングカーの上に差し込む太陽の光。審査員講評:この写真の抽象性がとても良いと思います。撮影者がどこにいるのか、発電所内にどうやってキャンピングカーが入ったのかに興味をそそられます。 — T.P.

Claus Muchow、Steinfurtロータリークラブ(ドイツ)

霧がかった寒い春の朝の小川(オーストラリア、ニューサウスウェールズ州)と、覆うように茂るユーカリの木々。審査員講評:超現実的とも言える写真です。水面の反射が美しく、霧がかった風景に惹かれます。ひんやりとした湿った空気が伝わってくるようです。 — T.P.

David Redfearn、Morelandロータリークラブ(オーストラリア)

インドネシアの海洋保護区で、カラフルな海洋生物たちの背後で渦巻くように泳ぐ魚の群が、まるで星空のように見えます。30万エーカーのこの保護区では、漁業やカメの卵採取といった活動が禁止されています。審査員講評:この写真では、前方を泳ぐ魚たちの目をはっきりととらえています。背後を泳ぐ魚たちが光のような印象を与えています。 — M.B.

Bonnie Wong、Wanchaiロータリークラブ(中国・香港)

台湾、新竹県での公演で、神話に登場する天女を表現する二人の古典舞踊ダンサー。ダンサーたちは伝統楽器である中国琵琶を持っています。審査員講評:ダンサーを照らす光が夢のような感覚を生み出しています。また、喜びの感情がうまくとらえられています。 — M.B.

Tin Yu Yu (spouse of Yi-Cheng Chen)、Taipei Asia Linkロータリークラブ(台湾)

German Rotary Volunteer Doctorsのメンバーである眼科医、オットー・ドリンガーさんが、ガーナにある病院で子どもの検眼をしています。これらのボランティアは、ガーナでの医療改善に25年間取り組んでいる多地区合同グループのメンバーです。このグループはインドとネパールでも活動しています。審査員講評:この写真は、検眼レンズを通じて放射される光をうまくとらえています。この光は、この幼い患者にもたらされる希望の光を表しているようにも感じられます。 — T.P.

Florian Quanz、Hamburg-Internationalロータリークラブ(ドイツ)

初夏の温かい日にビーチにくり出すシチリア島(イタリア)の住民たち。カラモニビーチは、その年の初海水浴を楽しむ人や砂遊びをする子どもたちでカラフルに彩られます。審査員講評:この写真はコミュニティの精神に満ちあふれています。そこには多くのストーリーがあり、カンバスの隅々にさまざまなシーンが描かれた印象派の絵画を連想させます。 — L.S.

Luca Venturi、Siena Estロータリークラブ(イタリア)

審査員

  • Madhumita Bishnu

    15年以上にわたり野生動物の写真撮影に携わる。バードウォッチング・ロータリアンの国際親睦活動グループと野生動物保護のロータリー親睦活動グループの理事。メルボルン・ロータリーEクラブ(オーストラリア)元会長。コルカタ(インド)在住。

  • Tami Phillippi

    米国ミネソタ州で額縁・額装専門店を営む。ニュースのレポーター/カメラマンとして短期間勤務し、企業で同様の仕事をした後、現在のビジネスを開業。イーガン・ロータリークラブ(米国ミネソタ州)会員。 

  • Lára Stefánsdóttir

    アイスランドのオゥラフスフィヨルズゥルにある高校の校長。芸術修士号(写真学科)を持ち、オーロラや崖、岩、自然風景など自然を題材とした写真撮影が趣味。オゥラフスフィヨルズゥル・ロータリークラブ会員。

  • Shankar Subramanian

    20年間にわたり写真を撮影に携わり、国際的な賞も受賞。写真を専門とする会社Pixel Hearts の創業者。バンガロール・ラージマハール・ヴィラス・ロータリークラブ会員。

本稿は『Rotary』誌2024年6月号に掲載された記事を翻訳・編集したものです。

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『Rotary』誌の次回のフォトアワードへの応募は10月に開始となります。