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積極的な参加を引き出すために

「目的意識」と「熱意」を育む6つのヒント

執筆:

イラスト:Pevê Azevedo

2022年1月の国際協議会の前に行われた次期ガバナーへの講演で、ジェニファー・ジョーンズRI会長エレクト(現会長)は、あるロータリー会員の話をしました。会員歴30年のその会員は、地元の子どもたちにコートを提供するプロジェクトに参加して初めて、ロータリーを完全に理解しました。「想像してください。彼は、ロータリーを理解するまでに、1,500回以上の例会に出席したのです」

これは彼だけの問題ではないと指摘するジョーンズ会長は、「会員の参加を促さなければならない」と強調します。会員がロータリーに何を求めているかを聞き出し、有意義な役割を担ってもらう必要があります。「ロータリーでの参加型の奉仕、人間的成長、リーダーシップ開発、生涯にわたる友情こそが、目的意識と熱意を生み出します。これが私たちの責任です。会員に奉仕できなければ、地域社会への奉仕もできません。会員にとって居心地のよい場所とし、会員への気配りがなければ、ロータリーの力を本当の意味で理解してもらうことはできないでしょう」

ジョーンズ会長の言葉を念頭に、会員への気配りをする上での6つのヒントをご紹介します。これらは、大きな成果をあげている3つのクラブをヒントにしたもので、いずれもジョーンズ会長の言葉に沿っているものであることがお分かりいただけるでしょう。

  1. 会員一人ひとりの情熱・関心を把握し、それに合った機会を与える

    ノースコブカウンティ・ロータリークラブ(米国ジョージア州)は、わずか6年余りで、会員数33人から70人以上へと成長しました。同クラブ会長のナンシー・プロチャスカさんは、新会員の活躍を引き出す体系的なプロセスが成功のカギだと考えています。クラブは入会候補者と話しあう機会を設け、どのようなプロジェクトや活動への熱意があるかを把握し、入会後はそれに合った役割を与えるようにしています。

    ビクトリア・イワートさんは、エドモントン(カナダ、アルバータ州)にある自宅近くのロータリークラブを訪問しましたが、どこのクラブともうまくいきませんでした。誰も彼女の関心について尋ねることはなく、質問がないかを聞いてくれる人もいませんでした。そこで、友人の勧めで、エドモントン・サウスイースト・ロータリークラブの創設を手伝いました。14年の歳月を経た今、イワートさんは、自身の経験を生かして入会促進に取り組んでいます。「人は心のこもった言葉を求めています。だから私は、相手のライフスタイルや家族について尋ね、どのような奉仕活動に関心があるのかを聞くようにしています」。得られた情報をもとに、クラブは地元のプロジェクトにすべての会員が参加できるよう配慮しています。

    コルビル・ロータリークラブ(米国ワシントン州)の会員増強委員長を務めるサラ・リン・グローブスさんは、5年前に入会した当時、ロータリーの手続きや専門用語に多少戸惑いを感じたと話します。「それ以来、会員の参加を引き出し、会員に気配りするためのプログラムをいくつか導入しました」と、グローブスさん。その中の一つ、「ロータリー・ルーキーズ」プログラムでは、新会員にメンターが付き、1年間ガイダンスを提供します。新会員はチェックリストに沿ってクラブのさまざまな側面に触れ、最終的に参加したい委員会やプロジェクトに関与できます。

  2. 柔軟に対応する

    出席とクラブ形態について認められている柔軟性を、クラブに取り入れましょう。コルビル・ロータリークラブでは毎週、昼食例会を開いていますが、奉仕プロジェクトや交流行事も毎月、午前中か夕方に開催しています。「特に若い会員の中には、毎週出席するのは難しいけれど、奉仕に貢献したいという人たちがいます」とグローブスさん。「ハイブリッド形式が有効だと思います。若い世代を取り込むには、そういうことも必要なのです」。

    ノースコブカウンティ・ロータリークラブは、毎週の朝例会で出席確認を行っています。しかし、会員の参加を引き出すため、奉仕プロジェクトへの参加を例会出席の代わりとすることも認めている、とプロチャスカさんは話します。また、出席を確認することも、会員の居心地のよさと配慮のための一つの方法となります。「欠席者が出た場合、その人の安否を確認することができます」

  3. テクノロジーを活用する

    新型コロナへの懸念が薄れ、直接対面式の例会が再開された後も、コルビル、エドモントン・サウスイースト、ノースコブカウンティの各クラブでは、オンラインで例会に参加する選択肢を認めています。「技術的に難しいと感じる会員もいますが、サポートできる会員もいます」と、プロチャスカさん。イワートさんは、バーチャル形式の選択肢によって講演者の幅が広がると指摘し、グローブスさんも「より大きく、より良い、よりクールな話をすることができる」と付け加えます。また、テクノロジーを活用しているクラブは、若い入会候補者にとっても魅力的です。「若い人たちは、迅速かつ効率的に情報が得られることを期待しています」とプロチャスカさんは話します。「それができないとなるとがっかりするでしょう」

    魅力的で定期的に更新されるクラブのウェブサイトに加え、少なくとも一つのソーシャルメディア・プラットフォームで積極的に存在感を示すことも重要です。エドモントン・サウスウェストとノースコブカウンティのクラブ会員の多くは、WhatsApp(メッセージをグループで即座に共有できるアプリ)も使用しています。「プロジェクトに人手が必要なときは、すぐに連絡を取ってボランティアを集めることができます」と、プロチャスカさんは説明します。

  4. ロータリーの研修への参加を奨励する

    プロチャスカさんは、クラブ会長エレクトのときにロータリーリーダーシップ研究会に出席し、さまざまな手続きについて学びました。「研修に参加する人は輝いているように見えた」と語る彼女は、より多くの会員が参加できるよう、研究会主催者にクラブの近くで研修セッションを開催するよう呼びかけました。また、イワートさんも次のように話します。「私はいつも、次期クラブ会長や幹事がクラブ会員全員とコミュニケーションを取れるよう、必要な研修を受けられるようにすることを地区に伝えています。そうすることでクラブのリーダーたちも、自分たちが重要な存在なのだと実感できるようになるはずです」

    「私が会員増強委員長になったとき、クラブ会長は私をゾーン研究会に派遣し、研修を受けることを支援してくれました」とグローブスさんは振り返ります。「私にとって、人生が変わるようなロータリー体験。クラブのプログラムを発展させるための、自分自身への投資となりました」

  5. 社会奉仕プロジェクトの機会にクラブの公共イメージを向上させる

    ノースコブカウンティ・ロータリークラブは、地元の団体と協力し、頻繁かつ多様な奉仕プロジェクト(食料の提供やコロナ禍での医療従事者支援など)を実施することで、高い知名度を維持しています。コルビル・ロータリークラブでは、毎年恒例の「Tree of Sharing」ホリデープログラムを通じて、人びとの注目を集めています。同クラブは地元の関係団体と協力し、地元の恵まれない人たちがクリスマスに何が欲しいかを書いた短冊をクリスマスツリーに付け、街中の多くの小売店に設置しています。エドモントン・サウスイースト・ロータリークラブでは、毎年1,000人もの人びとに食事を提供する感謝祭ディナーを名物行事としています。会員たちの誇りでもあるこのプログラムは、コロナ禍でも継続され、屋外で食料が受け取れるよう配慮がなされました。「いつもメディア関係者を招待しており、この活動で私たちのクラブは有名になりました。どこに行っても『感謝祭のおばさんだ!』って言われます」

  6. 親睦の大切さを忘れない

    グローブスさんは、2015年にコルビルに引っ越してきたとき、人びとに会い、地域についてもっと知りたいと感じたことを覚えています。ロータリーへの入会で、それが満たされました。「ロータリーでの活動が魅力的なのでクラブに留まっていますが、入会のきっかけは親睦でした」

    プロチャスカさんも同じ意見です。「この1年間で、50の奉仕イベントと15の交流行事がありました」。彼女のクラブでは、家族や友人を誘うことを会員に勧めています。「成功の秘訣は、楽しめるということです」

楽しむことを忘れずに! 写真は、エドモントン・サウスイースト・ロータリークラブでの、2021年のクリスマスパーティー。

写真提供:Victoria Ewert

会員の満足度

  1. 78%

    ロータリーで新しい友人を見つけられることに満足しているロータリー会員

  2. 69%

    ロータリーでリーダーシップを発揮できることに満足しているロータリー会員

  3. 60%

    ロータリーで職業的なネットワークを広げられることに満足しているロータリー会員

    出典:ロータリーの全会員を対象とした2021年調査

本稿は、Rotary誌2022年10月号に掲載された記事を翻訳したものです。

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